S・キングが「地獄の“スタンド・バイ・ミー”」と表現――恐怖と郷愁がせめぎ合う『ブラック・フォン』監督が込めた思い(クランクイン!)

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出典元:クランクイン!

これは地獄の『スタンド・バイ・ミー』? 『ドクター・ストレンジ』のスコット・デリクソン監督が自らの少年時代を重ねた、怖くてノスタルジックな新作ホラー『ブラック・フォン』。主人公は、仮面をつけた謎の連続児童殺人鬼に誘拐された少年。監禁された地下室で、黒電話のベルが鳴る。それは、かつて惨(むご)たらしく殺された被害者たちの幽霊が告げる「脱出へのヒント」だった――。スティーヴン・キングの息子、ジョー・ヒルの原作を元に、恐怖と郷愁がせめぎ合う不思議な魅力を持つホラーを作り上げたデリクソン監督に、話を聞いた。

【写真】もはやイーサン・ホークとわからない 恐ろしいマスクをつけた連続児童殺人鬼

――ジョー・ヒルの短い原作のどこに一番、惹かれましたか?

デリクソン監督:コンセプトの素晴らしさだね。サディスティックな児童誘拐殺人犯と、地下室の幽霊のとりあわせだ。誰も見たことのない状況に、フィニーという内気な主人公が加わる。彼はどうなるのか、夢中になって読み進めたよ。犯人に殺されたブルース・ヤマダ少年がフィニ―を助けようとする展開にも唸(うな)った。怖いけれど、とても感動的だ。

――誘拐殺人犯のグラバーは強烈な悪役ですが、素顔は謎だらけです。映画で語られなかった裏設定はありますか? グラバーを演じたイーサン・ホークには、彼をどんな人物だと説明したのでしょうか。

デリクソン監督:イーサンには具体的な背景は一切語らず、脚本だけを渡した。物語に正体不明の邪悪な人物が登場すると、僕らはその半生に思いを巡らす。何か原因があって今の結果があるはずだとね。だが、現実は違う。連続殺人鬼のテッド・バンディは幸せな子ども時代を送った。そんな人物がなぜ、残忍な犯罪に走るのか。具体的な理由がないことも多い。それこそが本当のミステリーで、心底恐ろしいことなんだ。グラバーにも当然、善の部分はある。100%の悪人はいない。完璧な善人がいないようにね。グラバーは「基本的に」悪い人物だ。僕らが秀逸な悪役に心惹かれるのは、その行動原理、つまり悪の因果が分からないからじゃないかな。

■マスクは人格を隠すのではなく、露わにするものだ

――テッド・バンディの名前が出ましたが、グラバーは実在の殺人犯であるジェフリー・ダーマーや、ジョン・ゲイシーを連想させます。彼らを参考にした部分はありますか?

デリクソン監督:原作者のジョー・ヒルは間違いなくジョン・ゲイシーに着想を得ているね。大柄な殺人ピエロだ。でも、『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』(2017)の大ヒットで状況が変わった。グラバーをマジシャンに変更しようとジョーが提案したんだ。いいアイディアだと思ったよ。バンディやリチャード・ラミレス、自ら“BTK(Bind=緊縛、Torture=拷問、Kill=殺す)キラー”を名乗ったデニス・レイダーら、悪名高いアメリカの連続殺人犯にも理解不可能な要素がある。だが、特定の殺人鬼を模倣するより、彼らとは異なるユニークな悪役を創り出したかったんだ。

――それで登場するのがマスクですね。

デリクソン監督:マスクはそもそも怖いからね。ただ、『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズや、『13日の金曜日』のジェイソンみたいに、素顔を隠した無言の殺人鬼ではなく、会話が成立するおしゃべりな殺人犯にしたかった。グラバーにとって、マスクは自分を解放する道具だ。仮面を取ると何も言えなくなる。顔のさまざまなパーツを象(かたど)ったマスクをイーサン(・ホーク)に渡し、状況に応じて彼の目や口が見えるようにした。それがグラバーの思考や心情を理解するヒントになるんだ。

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