湯浅政明監督「犬王」、ベネチア映画祭オリゾンティ部門でワールドプレミア 終映後に熱い拍手浴びる(映画.com)

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出典元:映画.com

第78回ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門で9月9日(現地時間)、湯浅政明監督のミュージカルアニメーション「犬王」がワールドプレミアとして披露された。昨年に続くコロナ禍で定員が半分に制限されるなか、会場はソールドアウトになり、終映後は熱い拍手を浴びた。

 現地を訪れた湯浅監督は、「じつはまだ上の空で、本当に気に入ってもらえたのか実感が湧かないです」と言いながら、喜びの表情を見せた。

 古川日出男の「平家物語 犬王の巻」を映画化した本作は、室町時代、源氏に滅ぼされた平家の怨念が残るなか、実在した異形の能楽師、犬王と、盲目の琵琶法師、友魚の友情を描く。偶然出会ったふたりはすぐに熱い信頼を築くようになり、独特の舞いと音楽で庶民の人気を得ていく。

 キャラクター原案を松本大洋が手がけ、音楽は大友良英が担当。琵琶の音色とロックミュージカルを融合させた、ユニークなアニメ・ミュージカルだ。声優として犬王をロックバンド「女王蜂」のアヴちゃん、友魚を森山未來が演じた。

 上映後、Q&Aにのぞんだ湯浅監督は、「このふたりのような若者がかつて居たことを知ってもらいたいと思い、この映画を作りました。この時代は、生まれたときに生まれた場所で、その人の運命が決まってしまう。そのなかで上に行くにはサムライとして身を立てるか、芸術家になるしかなかった。犬王はハンディを背負いつつも、とても明るい性格で、まったく諦めずに自分の夢を実現しようとしていたところに感銘を受けました。彼らは自分のやりたいことを実現させようとした。そんな姿を見ると、自分も周りに左右されず生きたいように生きるべきだと、勇気づけられると思います」と語ると、会場に拍手が起こった。

 また独創的な音楽について尋ねられると、「ディープパープルやクイーンのような現代的なロックをイメージしたのですが、それを琵琶の音を使ってやるというところで大友さんはとても苦労されたと思います。先に絵がほしいと言われ、ストーリーボードとムービーを用意して送りました。そして音楽ができた後、今度は歌入れのときに、アヴさんや森山さんら、声優さんの意見を聞きながら歌詞を作りました」と、その制作プロセスを明かした。

 さらに犬王と友魚の友情について、「誰かの理解者になってあげたい、誰か理解者がいた方がいい、このストーリーにはそんな持ちが込められています。どうかみなさんも、犬王と友魚の名前を覚えて帰ってください」と観客に呼びかけると、再び拍手が起こった。

 日本のアニメ・ファンだという現地の観客のひとりは、「湯浅監督のスタイルは、日本のアニメのなかでも独特。とくにこの作品では、日本の伝統的な文化と現代的なものを融合させているところが個性的。とてもパワフルで楽しい作品です」と絶賛していた。「犬王」は2022年初夏、日本公開の予定。(佐藤久理子)

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