出典元:オリコン
スウェーデン本土の南東海岸に位置し、バルト海に浮かぶフォーレ島で撮影された映画『ベルイマン島にて』(4月22日より全国順次公開)より、島で爽やかなひと夏を過ごす気分に浸れる本編映像の一部が解禁された。
【動画】映画『ベルイマン島にて』本編映像
フォーレ島を有名にしたのは、20世紀の映画史にその名を刻む伝説的存在のイングマール・ベルイマン監督。カンヌ国際映画祭審査員特別賞(1956年『第七の封印』)、ベルリン国際映画祭金熊賞(1957年『野いちご』)、べネチア国際映画祭審査員特別賞(1958年『魔術師』)と、三大国際映画祭すべてで主要賞を受賞し、アカデミー賞外国語映画賞を3度受賞するなど、輝かしい実績と確かな評価を得ている。
スティーブン・スピルバーグやマーティン・スコセッシなど、今日の巨匠と呼ばれる映画監督たちに多大な影響を与えたベルイマン監督が、いくつかの代表作を撮影し、晩年を過ごした島として知られるフォーレ島は、今もなおアーティストや映画ファンからは聖地として崇められている。
そんなフォーレ島が舞台の『ベルイマン島にて』を監督・脚本を手がけたのは、ベルイマン監督の熱狂的な支持者の一人であるミア・ハンセン=ラブ。解禁された本編映像は、劇中でフォーレ島に現存するベルイマンの遺産と、そこで実施されているアーティスト支援制度「ベルイマン・エステート」に触れたシーン。
ベルイマンがかつて所有していたフォーレ島の家や映画館は、「ベルイマン・エステート」として、世界中の芸術家、学者、ジャーナリストらに向けて、仕事やインスピレーションの場として開放されている。また、申請時に文化的・芸術的な貢献でコミュニティへ還元する方法をプレゼンし、その申請が通ると無料でこれらの施設に滞在することができ(滞在期間は2週間以上2ヶ月以内)、これまでに本作監督のミア・ハンセン=ラブはもちろんのこと、マイケル・ダグラスやキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ホリー・ハンターといった名優たちも利用している。
本作の主人公たち、映画監督カップルのクリス(ヴィッキー・クリープス)とトニー(ティム・ロス)も、「ベルイマン・エステート」を利用すべく、アメリカからフォーレ島にやってくる。創作活動にも互いの関係にも停滞感を抱いていた二人は、敬愛するベルイマンが数々の傑作を撮ったこの島でひと夏暮らし、インスピレーションを得ようと考えたのだ。やがて島の魔力がクリスに作用し、彼女は自身の初恋を投影した脚本を書き始めるのだが――。
解禁された映像では、一戸建てのベルイマンのプライベート試写室や、公開当時に離婚する夫婦が続出したといわれるベルイマンの代表作の1本『ある結婚の風景』(1974年)が撮影された寝室のある家などを見ることができる。
そよ風が吹くのどかな風景のなかに立つ北欧建築や、木のぬくもりある家具が並ぶ室内など、優しい時間の流れる情景は、夏のフォーレ島に訪れているような感覚が味わえる映像となっている。
フォーレ島でオールロケを敢行したミア・ハンセン=ラブ監督は、その理由を「10年ほど前から、ベルイマンの作品や人生に傾倒し、この島に強くひかれるようになりました。彼はこの島で、代表作のいくつかを監督し、人生の最後を過ごしました。バルト海の真ん中に位置するこの島は、恐ろしくも魅力的で、厳かで刺激的な理想を体現していて、私がベルイマンから連想する絶対的な芸術家の品位を備えた究極の場所なのです」と語る。
また、「フォーレ島で抱いた幸福感は、子どもから10代の頃の記憶を呼び起こしました。野生的かつ原始的で、一種の瞑想に誘うような静かな雰囲気を醸し出し、私の想像力を豊かにしました」と、フォーレ島の風景が持つ力についても言及している。