二村ヒトシ 映画と恋とセックスと <第1回>ポール・トーマス・アンダーソン「ブギーナイツ」(映画.com)

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出典元:映画.com

こんにちは。今年の3月に映画「愛について語るときにイケダの語ること」についての記事(https://eiga.com/news/20220303/19/)でいろいろ語った、アダルトビデオの監督をしたり恋愛についての本を出したりしてる者です。今月からコラムを書かせていただきます。よろしくお願いします。

 個人的な意見なんですが、僕は映画にはエッチなもの、いやらしいものが映っていてくれると喜ぶタチです。ですが、女性の裸を出しておけばエッチだとは思わないです。女性の裸だって男性の裸だって男性同士のキスシーンだって、出しておけばいいというものではない。監督がそれをいやらしいと思って撮っていなかったら(あるいは映画を観ている人がそれを「いやらしい!」と思わなかったら)エッチではない。

 セックスしてるところを表現した映画や映像は子どもには見せないという法はだいたい世界中どこの国にもあります。でもセックスをしてるのではない人の顔つき、そのアップの表情、人と人が会話をしている場面、宇宙から来た人が地球の人に何かをしている場面などがめちゃめちゃエロかった、セックスしてる場面よりもよっぽどいやらしかったということも映画ではありえます。

 性的なことはしてない人の顔や仕草をエッチに撮って、映画館のスクリーンに映して、それを子どもが見てしまい「なんだかしらないけど…、エッチだった…」と感じて記憶に深く刻まれてしまうこともありえるのが、映画の自由さだと僕は思います。

 いやらしい映画を見せられるのはいやだ、そういうものを見ると傷つくと感じるかたがたくさんおられるのも理解しています。また、いやらしいセックスがダメなのではなく暴力的なセックスがダメなのだ、暴力的なセックスは「いやらしくない」からつまらないのだという考えかたもあり、僕もおおむねそう考えているのですが、映画において何が暴力なのかは単純な話でありませんし、いわゆる「恋愛」が登場しなくて奇ッ怪なセックスだけが暴力的に描かれる映画を観てうっかり感動しちゃう(最近だと「TITANE チタン」がそういうヤバい映画でした。感動しました)ことがあるのも映画体験の自由さだと思いますが、そんな「自由だ!」とかのんきなことを言っている場合ではない、人は心が傷ついてしまったときにはもう手遅れなのだ、なるべく心が傷つかない映画ばかりにしていくべきだという考えもあるでしょう。

 映画でセックスをあつかうのは、むずかしいことです。

 デートムービーという言葉がありますけれども、さわやか恋愛映画だと思いこんで、まだあまりセックスをしていない相手と、あるいはセックスレスになっちゃっててそれをどちらか一方だけが不満に思ってる恋人と2人で観にいったら、エッチな場面があって気まずくなったといった事例も聞くことがあります。

 ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作「リコリス・ピザ」がもうじきロードショー公開されるというので、まずは同監督の旧作「ブギーナイツ」をひさしぶりに観てみました。

 制作されたのは1997年ですが、物語の舞台はアメリカのポルノ業界がフィルム撮影からVTRに移行していく1970年代末から80年代にかけて。男優として成り上がっていく青年エディ(マーク・ウォールバーグ)を主人公に、ハードコアポルノ(カメラの前で本当にセックスをして撮影するポルノ。日本のAVでは「本番」と言いますね)に出演したり撮影をすることで、お金持ちになったり差別されたり没落したりする人々の群像を描いています。

 日本での公開が98年。映画館で観た記憶がなく、その少し後にレンタルビデオ屋さんで借りて観たような気がします。VHSテープで、だったかもしれない。そのころ僕はAV男優として仕事でセックスするようになって数年たっていて、ぼちぼち監督業も始めていたので、まさに自分ごととして受けとめた映画でした。

 あらためて思いましたが「ブギーナイツ」はエッチなシーンは盛りだくさんですが、いやらしい映画ではありません。人前でセックスする人たちのお話ですから、きれいな裸はたくさん出てきますが、人間が恋愛感情からセックスをする直前の「したい」「しちゃうのかしら」「恥ずかしい」「すき…」みたいな空気感じゃないのです。仕事ですから。

 唯一「やらしい!」と興奮したのは、ベテラン熟女ハードコア女優(を演じてるのが後にヴェネチア・ベルリン・カンヌの世界三大映画祭で女優賞、さらにゴールデングローブ賞とアカデミー賞でも主演女優賞を取ってハリウッドの大スターになるジュリアン・ムーアというね…)が、主人公のデビュー初現場で「ようこそ、あたしたちの世界へ…。がんばってあたしを抱きなさい。坊や、なかなか才能ありそうね…」と言いたげな目つきで主人公を見るシーンですかね。ここ、ベテラン熟女のほうも実は緊張してたんじゃないでしょうか。そして二人は監督も大満足するような素晴らしいセックスをカメラの前でしちゃうわけです。

 つまり僕は、なれあいではない大切なセックスを今からするぞってときの人間の切迫した感情が、いやらしくて好きってことですかね…。

 そこ以外の場面はそんなにいやらしくないです。じゃあ「いやらしさ」ではなくて何が「ブギーナイツ」で描かれているのかというと、ハードコアポルノの仕事に就くことになってしまった人たちの「どうしようもなさ」だと思います。

 て書くと「ああ、やはりポルノに出てしまう人たちは、どうしようもない人たちだと述べた映画なんだ」と思われるかもしれませんが、そういうことでもないのです。「ブギーナイツ」に登場する人たちは、みんな普通の人たちなんですよ。 まあ「普通って何だ」って話でもあるんですが…。 普通の人が、普通だからこそ親子関係に問題を抱えたり、家庭にも学校にも居場所を失ったりして、それで、たまたまの偶然が重なって、いつのまにかポルノに出ることになっている。たまたま出ることになったのに、いつのまにか「よし、俺はこれで一旗あげてやるぞ」みたいな気持ちになっている。

  主人公エディは確かに素晴らしいセックスをする才能だけは、めちゃめちゃあったのです。 あったのですが、その唯一の才能によって有名になった後、かんちがいして偉そうになって、どんどんダサい男になっていく。日本の、テレビに出てる有名人にも、そういう人いますよね。すごく普通です。

 バート・レイノルズ演じるポルノ監督も、ポルノ監督としての才能があって金持ちになったのですが、それなのに「俺が撮るポルノは単なるポルノじゃなくて、映画として立派に通用する」なんてダサいことを、つい考えてしまう。

 ポルノは一般の映画より劣っているんだから分(ぶ)を知れ、と言いたいのではないのです。むしろ逆で、僕は「いやらしいセックスの映像こそがあらゆる映像の基本であり最高の映像なんじゃないか」と、わりと本気で思っています。

 「ブギーナイツ」の登場人物たちはみんな、ポルノに劣等感があるってわけじゃなくて、なんて言うんですかね、「そのときの自分自身であること」が苦しいんです。

 すげえ美人の金髪ポルノ女優(ヘザー・グラハム)も、もう引退して「普通の人」になろうとしている黒人男優(ドン・チードル)も、ポルノが大好きなはずの一般の「普通の男たち」からめちゃめちゃ差別されます。さえないポルノ撮影スタッフのあんちゃん(演じるのは僕が大好きなフィリップ・シーモア・ホフマン)も、ちょっとしたヘマをやらかして悲しい目にあう。

 自分であることの苦しみは特殊なことではなくて、普通のことだと思います。だから「どうしようもない」んです。…とか偉そうなことを書いてる僕自身も、今ではあんまりAVを撮らなくなってこうやってマジメな文章を書いたりして、いい歳をしてやっぱり「自分じゃないもの」になりたいんですかね。

 ただ、考えてみると「今の自分じゃないものになりたい」というのは普通の青春映画の、とても大切なテーマのひとつですよね。

 そんなこと考えながら「リコリス・ピザ」を観てきました。王道の青春恋愛映画でしたよ。誰かに恋をするということが、つまり今の自分ではないものになるということなんだ、とも思いました。

 主人公の男の子を演じるのは映画初出演の、フィリップ・シーモア・ホフマンの息子(クーパー・ホフマン)が最高! 年上の彼女(アラナ・ハイム)も最高! これ、「ブギーナイツ」と同じ時代の、すぐ近くの町での出来事なんですね。まさか監督の頭の中で「リコリス・ピザ」の主人公の男の子がハッピーエンドの後やっぱり彼女にふられて何年後かに「ブギーナイツ」のポルノ撮影スタッフになる、なんて裏設定はないだろうな…(笑)。

 そんなにエッチじゃなくて(セリフで下ネタは結構ありましたが)甘酸っぱくて、でも皮肉は効いていて、音楽もすてきだし、デートムービーとして良品だと思いました。ぜひ「ブギーナイツ」を家で、「リコリス・ピザ」を劇場で、続けて観るという変則二本立てでお楽しみください。「ポール・トーマス・アンダーソンに駄作なし」と誰かがどこかに書いていたのを読みましたが、なるほど、と思いました。

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