万田邦敏監督新作「愛のまなざしを」に仲村トオル×杉野希妃×斎藤工×中村ゆり(映画.com)

出典元:映画.com

[映画.com ニュース] 「UNLOVED」「接吻」などで知られる万田邦敏監督の最新作「愛のまなざしを」が、2021年に公開されることが明らかになった。主演の仲村トオルが現実と幻想の区別がつかなくなる精神科医を演じるほか、杉野希妃、斎藤工、中村ゆりら個性あふれる実力派が結集している。

 万田監督が森口瑶子を主演に迎えた「UNLOVED」は、01年の第54回カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品され、レイル・ドール賞とエキュメニック賞をダブル受賞。小池栄子と豊川悦司が主演を務めた「接吻」は、第23回高崎映画祭で最優秀作品賞に輝くなど国内の映画賞を席巻。この両作に続き、妻・万田珠実と共同で脚本を手がけたのが今作だ。

 貴志(仲村)は評判の精神科医だが、6年前に亡くした妻・薫(中村)のことを思ってはむせび泣き、薬で精神を安定させる日々。患者としてやってきた綾子(杉野)と恋に落ちるが、貴志の薫への断ち切れない思いや薫との子ども・祐樹の存在を知った綾子は猛烈な嫉妬心にさいなまれていく。そして、薫の弟・茂(斎藤工)に近づく……。

 メガホンをとった万田監督は、ラストシーンについて撮影中に二転三転したことを明かす。「決定稿では、主人公の男女は最後まで闇の中に宙づりにされたままだった。ところが、撮影中にそれではこの二人がなんだか可哀想に思えてきた。救いがなさ過ぎると思った。男も女も本気で愛し合ったのだし、本気で憎み合ったのだ。その本気を最後に突き放したままでいいのだろうか。そう思わせたのは、役を演じる目の前の仲村さんと杉野さんの身体が、意識せぬまま、己が演じる男と女の救済に向けて動き、発話し、沈黙していたからなのだと思う」。

 仲村と杉野はもちろん万田監督自身も気づかなかったというが、この結末に最初に違和感を覚えたのは、脚本をともに執筆した珠実だった。「愛する者が苦しんでいるのなら、その苦しみを分かち合いたい、苦しみから救ってあげたい。珠実は、仲村さんと杉野さんの芝居する身体が発するサインを目ざとく読み取ったのだ。撮影の合間を縫って二人に相談してみると、『そういうことだったのか』と二人も納得。だったらあれは、これはといろいろとアイデアは出てくるし、二人の身体にもそれまで以上に開放感、伸びやかさ、自由さが増した。こうして、映画の最後(それは撮影終了日でもあった)に杉野さん演じる綾子は満面の笑みを見せることになった。決定稿とは真逆の結末に、私たちはみな満足してクランクアップしたのである」。

 「UNLOVED」「接吻」で重要な役どころを好演した仲村は、「『答えは其処にしかないのです』と説得され切った『UNLOVED』。『答えはひとつではないのです』と自由さに戸惑った『接吻』。『愛のまなざしを』の撮影現場は、過去の自分が出演した万田邦敏監督の作品と比べると『答えなど最初からないのです』と言われ、『迷宮を駆け抜けたような』日々でした」と述懐。そして、「過去の万田組の現場の雰囲気と共通していたのは涼しさより少し冷たさに近いような、ひんやりとした緊張感、でしょうか。ただそれも、過去の現場にあった張りつめていたものが、時に歪んだり捻じれたりするような新鮮な瞬間が何度もありました」とコメントを寄せている。

 今作には、貴志の息子・祐樹役をオーディションで勝ち取った藤原大祐が銀幕デビューを飾っているほか、万田祐介、松林うらら、ベンガル、森口、片桐はいりが出演している。なお杉野は、今作の発案、プロデュースも兼ねている。

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