ミュージカルの話をしよう 第14回 甲斐翔真、ミュージカルの入り口を広げる助けになりたい(後編)(ステージナタリー)

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出典元:ステージナタリー

生きるための闘いから、1人の人物の生涯、燃えるような恋、時を止めてしまうほどの喪失、日常の風景まで、さまざまなストーリーをドラマチックな楽曲が押し上げ、観る者の心を劇世界へと運んでくれるミュージカル。その尽きない魅力を、作り手となるアーティストやクリエイターたちはどんなところに感じているのだろうか。

【画像】ミュージカル「RENT」より。(写真提供:東宝演劇部)(他5件)

このコラムでは、毎回1人のアーティストにフィーチャーし、ミュージカルとの出会いやこれまでの転機のエピソードから、なぜミュージカルに惹かれ、関わり続けているのかを聞き、その奥深さをひもといていく。

第14回に登場するのは甲斐翔真。前編では、特撮ドラマ「仮面ライダーエグゼイド」で知られる彼がいかにして舞台の世界に出会い、ミュージカルに魅了されたのかを語ってもらった。後編では、繊細な演技に定評がある甲斐の“自分ごとにする”役作りの秘訣や、現在上演中のミュージカル「October Skyー遠い空の向こうにー」への思い、コロナ禍で舞台デビューを果たした彼の“忘れられない”光景などについて聞く。なお取材は、「October Sky」稽古中の9月上旬に行われた。

取材・文 / 中川朋子

■ 自分をだます甲斐の役作り、大切にしたいのは“事実”を知ること
──甲斐さんは「デスノート THE MUSICAL」以降も、人気ミュージカルに次々と出演しています。「RENT」のロジャーや「ロミオ&ジュリエット」のロミオでは、心の機微や葛藤が伝わってくる演技がとても印象的でした。どのように役にアプローチされているのですか?

役の葛藤については“自分をだます”というか、僕自身がその作品の稽古で悩んだ気持ちが投射されています。僕は役作りには、その役の事情を“自分ごと”として捉えることが大事だと思っていて。自分自身が稽古で「この芝居はどうしたらいいんだ、うわー!」って悩んでいたときの感情を持ったまま、悩みの種だけ役のバックグラウンドにすり替えて演じる、というイメージですね。例えばロジャーなら、HIVに感染していたり、恋人のエイプリルを自死で失ったり、という経験をしています。だから本番前は、僕自身が稽古で悩んだことを思い返しつつ、「俺はHIV陽性で、エイプリルを亡くしている。だけどこれからミミという大切な女性に出会う……」とロジャーのことをブツブツ唱えてから舞台に出ていく。そうしているといつの間にか「ああ、だからロジャーは苦しんでいるのか」と、彼の悩みを自分のことのように捉えられる瞬間が訪れるんです。

──とてもレベルの高い自己暗示ですね……。

あははは! 「ロミオ&ジュリエット」でも似たようなことをしていました。実際にその役が生きている環境に立たされることで、気付きを得ることが多いですね。「RENT」では特に自分を追い込みました。ロジャーは引きこもっていたキャラクターなので、通し稽古をする前は1人で暗いところに行ってボーッとしながら、懲罰房に入れられているような気分を作ってみたりして。僕自身をだまし、思い込むことで勝手にストーリーが進んでいく感覚があります。

──インタビュー前半では、「『デスノート THE MUSICAL』で夜神月を演じるために、ユダヤ人虐殺と、それを行ってしまった人たちのことを調べた」ともおっしゃっていました。役のコアにある感情にどう接近するかを大切にしているのですね。

僕は役作りをするとき、視点を変えながら事実を知ることを大事にしています。「マリー・アントワネット」についてもフェルセンのことだけでなく、マリーとフェルセンの関係が周囲の目にどう映ったかを調べましたし、「RENT」なら、ヘロインは恐ろしい薬なのになぜ手を出してしまうのか、どんな禁断症状があるのか、といったことです。事実から学べることは多くて、だんだん「だからこの人物はこういうセリフを言うんだ」という答え合わせができるようになる。より深く共感できるし、初めはその役について「こんな人いないよ!」と感じても、「自分と同じ人間なんだ」と思うことで、より役に入り込みやすくなります。

──「ロミオ&ジュリエット」では、演出の小池修一郎さんから「歌に感情を乗せる」ことについて指摘を受けたそうですね。その課題には、どのように向き合ったのでしょう。

僕は歌うことが好きですし、「ロミオ&ジュリエット」の楽曲はメロディが素晴らしい。だから最初は、メロディだけを追って歌ってしまったのだと思います。だけど作品をより深く理解していくことで、歌をセリフのように発することができる瞬間が訪れて、きっとどの作品でもそうして歌に取り組んできたのだろうなと。僕は割と慎重派のようで、スロースターターだと言われることもあります(笑)。でも作品の背景にある事実を調べ、それを自分なりに理解してから役に近付いていきたいので、歌にもその役のイメージがだんだん反映されていくのだと思います。

■ 魅力を生かすも殺すも僕ら次第!初のシングルキャストにドキドキの「October Sky」
──甲斐さんは、10・11月にミュージカル「October Skyー遠い空の向こうにー」に出演されます。同作は、元NASAの技術者ホーマー・H・ヒッカム・Jr.の自伝小説「ロケットボーイズ」をもとにした映画「遠い空の向こうに」をミュージカル化した作品で、劇中では1957年、ウェストバージニア州の小さな炭鉱町を舞台に、厳しい現実に直面しながらもロケットに夢をかける高校生たちの物語が描かれます。

「October Sky」は専門的な知識がなくても楽しめますし、かなり共感しやすい作品かなと。時代の状況は違えど、固定観念にとらわれた人ばかりの世界で若者が夢を持つことがどれだけすごいか、という物語です。当時のアメリカで「ロケットを打ち上げたい」という夢を持つのがどういったスケールのことなのか、想像もつきません。でもそうして大きな夢を語るホーマーたちが周囲から「やめておきなよ!」と言われてしまうのは、現代の僕たちにも通じるところがある。現実的なストーリーですし、“普通”を演じるのは一番難しいので、どう取り組もうかなと考えているところです。

──ご自身が演じるホーマーの印象は?

ホーマーが夢を追う姿にすごく共感します。でも彼が僕と違うなと思うのは、周りに反対されながらも逆境を乗り越えて夢をつかもうとするところ。僕自身も「仮面ライダーになる」とか「ミュージカルに出る」という夢は持っていましたが、それは周囲の人に応援してもらえる夢でした。僕は否定されると落ち込んでしまうタイプなので(笑)、誰が何と言おうと突き進むホーマーはすごい。大きなものをつかむのは、やはりそういう人だろうなと思います。彼は周囲の雑音を呑み込んでしまうほど、まっすぐに夢を追います。ホーマーのその姿勢はかつて何かを諦めた大人をハッとさせるし、大人たちはそんなホーマーに夢を託します。ホーマーはロケットに夢を乗せ、大人はホーマーに夢を乗せるという構図が良いなと思いますね。

──甲斐さんは今回初めて、シングルキャストで舞台に挑みます。また本作は日本初演のミュージカルとなりますが、初演だからこその手応えや大変さは感じていますか?

シングルキャストについては期待と不安でいっぱいです。でも日本初演の作品に関われるのは、すごく恵まれたことです。個人的には、この「October Sky」は今後も上演を重ねていけるような素敵な作品だと思っていて。楽曲と脚本だけでもう面白いので、この魅力を生かすも殺すも僕ら初演カンパニーの腕次第(笑)。プレッシャーはありますが、役者冥利に尽きます。

──「October Sky」の演出は板垣恭一さんが担当します。板垣さんからは稽古場で、どんなお話がありましたか?

稽古が始まるとき「僕はあれこれ演出するのが好きじゃない。全部自分で固めることもできるけど、それじゃつまらないから。みんなと一緒に作っていきたいから、とにかくアイデアが欲しい。だから『こうしても良いですか?』とは聞かないでください。大体『良いよ!』と言いますから」とあいさつされていました。まだまだ稽古は始まったばかりですが、俳優の個性が引き出されていきそうなのですごく楽しみです。

■ ミュージカルの魅力は、「観ればわかる!」
──甲斐さんは映像作品中心に出演されたのち、この1年半ほどはミュージカルを軸に活動しています。数年前と今とでは活躍のフィールドが大きく変わりましたね。

舞台のお仕事をいただくようになり、向き合うものもまったく違うものになりました。ミュージカルが大好きですし、今はたくさん出演させていただいていますが、僕はまだ“道”の途中にいます。だから活動の限界を自分で決めず、今後も機会をいただけるのであればミュージカルの仕事をぜひ続けていきたい。ぜいたくなことを言っているかもしれませんが、新しい作品との出会いによって僕自身のできることも増えていけばいいなと思っています。

──甲斐さんのミュージカル歴の中で、最も忘れられない光景は何ですか?

忘れられないのはやっぱり「マリー・アントワネット」の千秋楽ですね。“コロナ禍デビュー”の僕の宿命だったのかもしれませんが(笑)、3作目の出演舞台にしてようやく、人生初の千秋楽を迎えることができました。会場は梅田芸術劇場で、“劇場”というイメージそのままの素敵なホールに、オーケストラの方々やたくさんのお客様がいて。実はカーテンコールで1人ひとりがお辞儀をしているとき、Wキャストで一緒にフェルセンを演じた田代万里生さんが、僕の動画を撮ってくれていたんです。「最後まで役目を果たせたんだな」と感慨深かったですし、梅田芸術劇場のシャンデリアの下で千秋楽を迎えられたことは、僕の自信になっています。

──甲斐さんが考える、ミュージカルの魅力とは?

観に来てもらえたら、わかると思います!(笑) 僕はミュージカルの“入り口”がもっと広がって、さらに身近なエンタテインメントになってほしいと思っていて。僕と同世代の友人は、観劇経験がない人が大半です。そういう方々は「興味はあるけど、そもそもどうやってチケットを買えば良いの?」というところから始まるんですよね。実際に観劇に来てくれた友人はみんな「観て良かった。面白かった。ほかの作品も観てみたい」と言ってくれました。だからどうにかして、僕がもっと観劇の入り口を広くできたら良いなと考えています。韓国ドラマを観ていると、恋人にミュージカルのチケットをプレゼントするシーンがあったりするんですよ。より多くの若い世代が「RENT」のような作品に触れてくれたらうれしいですし、舞台が生活に近いものになれば素敵ですよね。

──これからの展開がますます楽しみです。今後はどんな俳優を目指していくのでしょうか。

夢のまた夢ではありますが、ミュージカル「フランケンシュタイン」のビクターや、ミュージカル「ジキル&ハイド」のジキルとハイドを演じられたら最高です。特に「ジキル&ハイド」は僕の人生の目標です。ジキルとハイドを演じるには年を重ねていなくてはいけませんし、いつか機会をいただけたときのために努力し続けたいです。それにもしかしたら、僕が有名な作品に出ることが、より多くの方々がミュージカルを知るきっかけになるかもしれない。そのようなチャンスを逃さないためにも、とにかく実力を付けていきたいと思います。

□ プロフィール
1997年、東京都生まれ。特撮ドラマ「仮面ライダーエグゼイド」のパラド / 仮面ライダーパラドクス役でテレビドラマ初出演。その後「花にけだもの」「覚悟はいいかそこの女子。」「いつか、眠りにつく日」などの映像作品に参加したほか、映画「写真甲子園 0.5秒の夏」「君は月夜に光り輝く」「シグナル100」「君が世界のはじまり」にも出演。昨年「デスノート THE MUSICAL」で初舞台を踏み、以降は「RENT」「マリー・アントワネット」「ロミオ&ジュリエット」といったミュージカルに出演。今年12月には出演映画「偶然と想像」の公開が控える。

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