【ロングインタビュー】小松菜奈×宮沢氷魚、心を解放して吐露した内なる声(映画.com)

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出典元:映画.com

女優・小松菜奈にとって、映画「ムーンライト・シャドウ」への主演は運命が引き寄せたと形容するほか説明がつかない巡り合わせと言えるのではないだろうか。原作は、吉本ばなな氏による1988年のデビュー作「キッチン」(新潮社刊)に収録の同名短編小説。実に33年という年月を経て映画化が実現し、世に放たれようとしている。小松と恋人役で共演した宮沢氷魚はいま、何を思っているのだろうか。そして自らの内なる声に従ったとき、ふたりからどのような言葉が浮上してくるだろうか――。(取材・文/大塚史貴、写真/間庭裕基)

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 吉本氏の知名度、文学としての完成度を考えれば、未だ映像化されていなかったことの方が奇跡的と思えてくる。これまでに、故森田芳光監督が吉本氏のデビュー作「キッチン」に着目したのを皮切りに、「アルゼンチンババア」「白河夜船」など7タイトルが映画化されている。それでも、初期の代表作として世界中のファンが愛する「ムーンライト・シャドウ」は不思議と“動き”がなかった。それが、人と人が出会うということが如何にかけがえのない奇跡であるかを誰もが痛切に感じる時代、エドモンド・ヨウというマレーシア出身で日本文化に造詣が深い監督の存在、そして主人公・さつきを体現することができる小松という才能がリンクしたからこそ歯車が噛み合い、一気に動き出した。

 小松が初めて長編映画単独主演を務めた今作は、突然訪れる恋人・等(宮沢)の死をなかなか受け入れることが出来ないさつきの一人称の視点で描かれる物語を、詩情豊かに紡いでいる。今作で重要なワードになってくるのは、「月影現象」(原作では“七夕現象”)。満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれないという不思議な現象を知ったさつきが、悲しみをいかにして乗り越え、未来へ一歩踏み出そうとするかが焦点となってくる。

 これまでにマーティン・スコセッシ(「沈黙 サイレンス」)、バーナード・ローズ(「サムライマラソン」)という外国人監督との仕事の経験はある小松だが、東京国際映画祭の常連で原作のファンでもあったマレーシア出身の新鋭との“セッション”は、新たな驚きをもたらしたようだ。本編中に「もし月影現象が起きたら、誰に一番会いたいか」というテーマでさつき、等、等の弟・柊(佐藤緋美)、柊の恋人・ゆみこ(中原ナナ)が順に語るシーンを挙げる。キャストに渡されたのは、各キャラクターの人物背景を説明する短いメモだけ。これをヒントに、4人それぞれが自ら考えることを求められたという。

 小松「もともと台本にはなかったんですが、すごく新鮮だなと思いました。セリフが台本にはないわけですから、『自分への宿題で役として考えて来て』って。正解がないので、不安になりますよね。自分ではなく、さつきとして考えなければならない。誰も内容を知らないから、撮影時も緊張感に包まれていましたし、新鮮に聞けました。一発で撮ってみよう! というライブ感もありました。これがエドモンド監督のやりたかったことなんだなあと思いました。本編を観たら、私のところは切られていましたけど(笑)。月影現象で一番会いたい人、会いに来て欲しい人。ちょっとだけニュアンスが違っていて、私は大きく括った方が良いのかなと思ったら、カットされちゃいました(笑)。ただ、あれはエドモンド監督にしかない新しい演出。自分でセリフにないものを考える力を育む楽しさを教えてもらった気がしています」

 宮沢「エドモンド監督はとにかくテストを嫌う人で、段取りがある程度出来たら『本番! 本番!』が口癖でしたね。ライブ感を出すために変に固め過ぎず、瞬間で感じたことを大事にする方だと思いました。長回しのシーンも多かったのですが、役者の気持ちを尊重してくれた。不思議な感覚があって、撮影ではカメラマンさん、音声さん、照明さんがいるなかで芝居をするじゃないですか。意識しないようにするけれど、どうしても時々目に入ってしまう瞬間ってある。でもこの現場ではカメラあったっけ? マイクあったっけ? というくらい瞬間を楽しく生きていると感じることが出来たんです」

 現場では、滲み出てくるヨウ監督の人柄、原作への敬意が屋台骨となっていたことは想像に難くない。ふたりが作品世界を生きるうえで、心の拠りどころとしたのはどのような事だったのだろうか。

 小松「この映画って外側ではなく内面の美しいもの、悲しいものが映し出されていると思うんです。エドモンド監督は言葉だけじゃない、何かその先というのを伝えたいんだなって本編を観て思いましたし、ばななさんの魅力的な言葉のひとつひとつを彼は本当に大事にしていた。いつもばななさんの作品を持っていたし、絶えずニコニコしていたんです。何かが起こることをすごく楽しんでいて、いつも前向きだから、みんなも自然と付いていきたいなと思っていました。生と死を扱う物語ではあるけれど、さつきが前向きに進む最初の半歩が映っていればいいなと感じながら現場にいました」

 宮沢「僕は、自分(等)とゆみこがいなくなった後の世界、さつきと柊だけのシーンにはいなかったので、それまではとにかく笑顔でいよう…という意識はありました。僕たちの思い出は、笑顔で明るい記憶として残しておきたかったから。現場ではみんな、監督を『エドちゃん』と呼んでいたんですが、とにかくハッピーな人で僕たちに自由にやらせてくれる。演じている時も、そうでない時も、みんな笑顔。そんな現場って珍しいし、幸せなこと。その瞬間こそが支えになっていましたね」

 劇中で、佐藤緋美が息吹を注いだ等の弟・柊は、初対面の人に手料理を振舞うことを自らの流儀としている。流儀と考えると思い浮かばないかもしれないが、人への「おもてなし」に置き換えてみたとき、ふたりにはどのようなこだわりがあるか聞いてみた。

 宮沢「僕は家に人を呼ぶのが好きなんです。とにかく、『また来たい!』と思える時間を提供したい。準備している時も、食材を買っている時も楽しいんです。流儀か分からないけれど、一緒に過ごしている時間は楽しくありたいし、極端な話、『また明日来てもいい?』と思えるくらい楽しんでもらうのがモットーというか、大事にしていることなんです」

 小松「私は人に何かをしてもらうよりも、自分がしたいタイプ。サプライズも好きだし、人が喜ぶのを見るのが嬉しい。友だちの家へ行く時にお花を持って行くのも好きなんですが、ハッと驚いてくれる表情を見ると、私も幸せになれるんです。そういう意味では、世話好きなんですかね。何かをしてあげたいとか、相手のことを一番に考えたいなと思ってしまうんです」

 それぞれのこだわりを微笑みながら聞いていたふたりだが、本編ではポカポカと幸せな状態のまま突然の別れが音もなくやってくる。それは前述の通り、人と出会うということ、何気ない日々を積み重ねていく日常というものがいかに幸せで特別なものであるかを、眼前に突き付けられる。ふたりはいま、どのようなことに幸せを見出しているのか知りたくなってきた。

 小松「私は最近、友だちとのモノづくりに幸せを感じます。友だちのカメラマンや美容師と一緒に楽しいことをやろうよ! というところから発展して、プライベートな時間に私服でお茶しながら撮影してみたり、コラージュしてみたり。仲の良い友だちの前だからこそ出せる表情ってあるじゃないですか。そういう瞬間を撮り貯めて、いつか良い形で何かに残せたらいいなあって話をしているんです。次はこんなことをやりたいね! って話している時間が楽しいし、幸せだなあって思っています」

 宮沢「親友と料理を作っている瞬間が幸せかなあ。しょっちゅう遊びに来るんですよ。それも朝7時とか8時にテンション爆上がりで(笑)。ひと段落したらスーパーへ行って買い物をして、料理のプランを考える。今日はカレーとスープとサラダ…みたいに。だけど結局、作っている途中で飽きて、出来上がったサラダを食べながら話しているうちに夜になっちゃう。じゃあ第2弾いきますかって、また作り始めるんだけど、スープが出来て満足しちゃう。親友はその辺で帰っちゃうので、僕は夜な夜な3時くらいまでカレーをひとりで作って翌日食べるんだけど、それが何だか幸せなんですよね」

 ふたりのプライベートな一面を垣間見させてもらったが、やはり気になるのは仕事への向き合い方だ。小松は鬼才・中島哲也監督のもとで女優デビューを果たし、「渇き。」で鮮烈なインパクトを映画ファンに放ってから早7年。その間、モデルの仕事もあるなかで、20本以上の映画に出演している。一方、宮沢も映画、舞台、ドラマと精力的な活動を続けており、今年3月に公開された吉田大八監督作「騙し絵の牙」での好演は記憶に新しい。ふたりにとっていま、映画とは?

 小松「自分にとって中心にあるもの。中島哲也監督作でデビューさせてもらっているので、自分にとって最後の仕事も映画だったらいいなって思います。映画は観るのも好きだけど、私は映画の現場が好き。『映画っていいよね!』と共感できる監督さん、スタッフさんと現場にいると、幸せだなと思う瞬間がいっぱいあるんです。人生で映画に出合えて、それを仕事に出来ていて幸せだなと思っています」

 宮沢「僕はこの仕事を始めてから、舞台の方が出演本数は多いんです。突き詰めて向き合って、みんなで良い作品をつくる過程も好きだし、観に来てくださるお客さんの生の感覚も好き。映画ってより一層、役に近づける瞬間があると思うんです。それは、舞台では出来なかった繊細な表現が可能になるというのが魅力です。そういう実感を、最近得られるようになってきています。まだそんなに本数をやれているわけではありませんが、必ずまたやりたいと思えるものです」

 さて、最後になるが今作で筆者が胸を打たれたのが、さつきと柊を「月影現象」へと誘う謎の女・麗(臼田あさ美)が、「あなたも声、出してみない? 何を話してもいいし、何も話さなくてもいい。自分の声に従って」と、さつきに心の開放をうながすシーンだ。さつきが何を吐露したかは本編を鑑賞して頂きたいが、ふたりにも全く同じ問いかけをしてみた。

――おふたりが自らの内なる声に従ったら、いまどのような言葉が出てきますか?

 宮沢「とにかく自分を大事にしなさい、ですかね。27歳で体力もあるし、たくさんお仕事をしても壊れない体とメンタルを持っているつもりですが、気づかないうちに無理をしてしまって壊れる可能性だってゼロではない。仕事を大事にしながらも、自分が精神的、肉体的に健康でいないと出来なくなってしまう。やりたいこと、やるべきことを実現するために、自分のベースを健康な状態で保たなければいけない。それは年齢とかキャリアとか関係なく、誰もがその意識を持つべきだと思うんです。だから、どんなことがあっても自分を大事にしなさいって言葉が出てくると思います」

 小松「離れて暮らしているおじいちゃん、おばあちゃんに会いたい。コロナ禍で、ここ何年も会えていなくて……。いつ誰が、どのタイミングで会えなくなっちゃうのか分からないじゃないですか。本当にもどかしい。会いたいけど、会いに行けない。葛藤しますよね。成長した姿を見せたいし、色々な話ができる年齢になってきたから……。家族との時間の大切さをより強く感じているので、会いたいなと思う人には時間をちゃんと作って会いたいですね」

 取材を終えたふたりは爽快な笑顔を浮かべ、ダンスのステップを踏むように軽やかな足取りで次の取材へ向かって行った。その姿は、笑顔が溢れていたという今作の現場を思い起こさせ、さつきと等が出会うきっかけとなった“鈴”の音が聞こえた気がした。

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