
私は中学生のころテニス部に所属していたのだが、それがとにかくもう退屈であった。一年生は球拾いやら草むしりばかりさせられているし、ラケットを握れたと思ったら素振りに壁打ち。基礎練習は仕方ないにしても、必死に走り回って球を拾いろくでなしの先輩の機嫌を取らねばならないところは納得がいかなかった。
「マリオテニス エース」画像・動画ギャラリー
ところで、2018年6月1日~3日の期間中にNintendo Switchでは『マリオテニス エース』発売前先行オンライン体験会が開かれていた。私も参加してみたのだが、いやはやなんて楽しいのか。丁寧に教えてくれるうえ手軽にマンガのような派手すぎるテニスを楽しめる……(これはゲームだが)。やはりゲームというものは素晴らしいものよ。
エナジーゲージという存在がテニスの駆け引きをより奥深くする
何が素晴らしいかというと、まずカロンが丁寧に基本を教えてくれることだ。トスの投げ方、サーブの打ち方、それこそテニスの基礎から本作の新システムを教えてくれる。
私が部活でテニスをやっていたころは、新人にいきなりスライスショットを教えようとする先輩、いや基礎練習こそが至高だと言う先輩、そして一年にはボール拾いでもさせていればいいんだよという先輩がモメていた。もちろん最後の先輩の発言力が強かったのでああいう結果になったのだが。
おっと話が逸れた。本作では画面左上にエナジーゲージなるものが表示されるのだが、これが試合においてとても重要な要素となる。ゲージを溜めると鋭いショットを放つことができる「ねらいうち」や、周囲の時間を遅らせて難しいボールも返せるようになる「加速」を発動できるわけだ。
そして、ゲージを満タンにするとスペシャルショットを使用することが可能になる。これは相手のどんな球でも強引に返せるうえ、強烈な一撃を叩き込むことができ、さらに相手がレシーブに失敗すればラケットが折れてしまうのだ。体験会ルールでは各キャラクターにラケットが2本支給されており、それをすべて破壊すればなんとKO勝ちできるのである(なお、これらのルールがないシンプルモードも存在する)。
「ラケットが折れる」と書いてまたひとつ思い出してしまった。部活の先輩が公式試合で負けたときに悔しかったらしく、ラケットを膝で折ろうとした。しかし当たりどころが悪かったのかラケットは無事でむしろ膝のほうにダメージが入ったようで、彼は涙を流しながら痛みにもだえ地面を転げ回った。嫌な先輩だっただけに、あれは本当におもしろかった……。
申し訳ない、どうしてもテニスの話をすると昔を思い出してしまう。話をマリオのほうに戻すと、このエナジーゲージとラケット破壊の存在が試合に新たな駆け引きを生むのだ。ゲージが溜まっているほうが有利なのは間違いないので、いかに相手にゲージを使わせるか、あるいは自分がいつ使うか。そしてスコアで勝つかKO勝ちを狙うか。状況に応じて戦略を変える必要があり、より奥深く楽しめるというわけだ。それでいてテニスのルールを破壊することはなく、駆け引きの一要素としてうまく収まっている。
先行オンライン体験版はとにかくガチな面ばかりが見える